サワーチェリーパイ 6ピース

ガシャン! と音を立てて道へ倒れる自転車。


それに驚いた彼女は、僕の顔をみつめた。


「ごめんなさい」
「いいんだ、こっちこそごめん。驚かせて」
「公園に寄ってもいい? 」
「うん」


途中にある小さな公園へ向かい、自転車を停める。


そして寒風の中、ベンチに並んで腰を下ろした。


彼女は白いコートから、手を出して温かい息を包み込むようにしていた。


まるで、言いたくない事実を息に乗せて握りしめるように。


「駿府君、あのね、私、高校受験しないって言ったよね」
「うん、原因はその事? 」
「そう、私はアメリカに行くの」


留学なんだろうか、まあ英語が得意だから留学しても困る事は無いだろうけど……、ってじゃあもう会えなくなるのか。


「母が再婚したの、だから。日本にいたいって言ったのに、相手が住んでいるのが向こうだからって、勝手だよね」


勝手だよね、という声は震えていた。