サワーチェリーパイ 6ピース

パーティが始まっても、皆と同じように楽しそうな顔にはならず、ずっと沈んだまま。


そんな様子が気になり、帰り際に声を掛ける。


「ルナちゃん! 送るよ」
「ありがとう」


自転車には乗らず、手で押したままゆっくりと歩く。


頭の上には、冬のやけに明るい月が浮かんでいた。


「あのさ、この間も聞いたんだけど悩みとかあるの? 」
「うん」
「家の事? 良かったら僕が聞くけど。あ、でもあんまり頼りにならないかも」


勉強の事ばかりで、人間関係などにはうとい。


もし相談されても、あまりまともな答えは返せそうになかった。


「駿府君、あのね。あ、でも……」


そんな態度を繰り返す彼女を見ていて、つい僕は自転車を放り出してしまう。