極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~

たまに発揮される幼馴染みの強引なところに苦笑しながら、椅子に背中を預ける。

一人になった途端今日何度目かわからないため息が口からこぼれそうになり、ぎゅっと唇を結んだ。

雪さんに直接聞いたわけでもないのに、自分で嫌な方に物事を考えて、勝手にへこんで、挙句の果てに自分のことを好きだと言ってくれる秋ちゃんの胸で泣きわめいて。

自分が一番最悪だ。

雪さんと付き合ってから、今までも何度か不安になることはあった。
だけどその度に、いつも雪さんが私のことを安心させてくれた。

――私は一度でも、自分から雪さんのことを信じられただろうか。

私に雪さんの隣にいる資格なんてあるのだろうか、そんな考えで頭の中がいっぱいになって天を仰いだとき、頬に一粒の雫が触れた。

天気予報大当たりじゃん…

ぽつぽつと心の中に染み渡るかのように降る雨が視界で捉えられるようになってきて、せめて室内に移動しようと荷物をまとめて立ち上がろうとしたとき、履いていたヒールがタイルに引っ掛かって体勢を崩しかける。

咄嗟にもう片方の足でバランスを取ったけれど、衝撃に耐え切れなかった一方のパンプスのヒールは見事に折れ、脱げた足が地面を踏んだ。

「もう最悪…」
立ち上がるのも嫌になりそうになる気持ちを抑えてなんとか姿勢を立て直そうとしたとき、腕を掴まれ、ふわっと身体が軽くなる。

顔を上げると、甘い香りを纏った赤と白が目の前いっぱいに広がった。