極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~

「お前はそうやって笑ってろ」
独り言のように囁かれたその言葉に、いつの間にか笑っている自分に気が付いた。

「家まで送るから」
ぽんっと頭の上に手を置かれてから、そのままくしゃくしゃに髪が乱れるくらいに頭を撫でられる。

「なに、それともほんとに俺ん家来る?」
「いっ行かないよ!」
「それは残念」

少しだけ意地悪になった、だけど昔と変わらない優しさで私を包んでくれる秋ちゃん。
さっきの秋ちゃんの気持ちがもし本当だったとしたら、私はちゃんと秋ちゃんと向き合わなくちゃいけない。
だけど今は答えなくていい、目の前の秋ちゃんの笑顔にそんな風に言われている気がして。
さっきの話題を掘り返すことはしないと心の中で決めた。


「あ、会社に忘れ物した」
「え、嘘」
「んー、…あ」

2人で会社を出て家までの道のりを並んで歩いていると、秋ちゃんが何かを思い出したかのように突然足を止めた。
ぐるりと辺りを見回してから近くにあったカフェに目を止めると私の手を引いて歩き出す。

「ち、ちょっと秋ちゃん!?」

テラス席まで連れてこられて、流れるままに椅子に座らせられた。

「すぐ戻るから、ちょっとここで待ってて」
「え、私も一緒に…」
「いいから。俺が戻るまで待ってて」

私を連れて行く気はないらしく、それだけ言い残すと秋ちゃんはスタスタと歩いて行ってしまった。