極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~

彼の手によって開かれた先にあった光景に、思わず目を見開く。

「え…」
扉の向こうにあった部屋の中には、何着もの高そうなドレスやキラキラしたジュエリーが所狭しと並んでいたからだ。

「どうぞ、入って」
私を部屋の中まで導いてから手首を解放した彼は、1人部屋の奥へと歩みを進めていく。

これは…どういう状況?

思考が追い付かずその背中を見送ることしかできなかった私のもとに、ものの数分で戻ってきた彼。
その一歩後ろには、なぜか綺麗な女性が控えている。

「着替えておいで。彼女には伝えてあるから」
「は!?いや…」
「そのままじゃ戻れないでしょ」
「そ、れはそうですけど…」

…いやいや、どこのお嬢様のお話ですか!
汚れたドレスを一瞥してから視線を上げた彼は、それがさも当たり前だとでもいうように平然と微笑んでいる。

「じゃあ、彼女のことよろしくね」
「かしこまりました」
「いや、あの、ちょっと!えー!」

そんな叫びにも似たような声を上げながら、ひらひらと手を振る彼に見送られながら部屋の奥へと連行されていく。
繊細な見かけによらず、服装からしてこのホテルの従業員なのであろう彼女の力はなかなか強い。

…そして数分後。
着飾られた私の姿を見た彼は、全国の女子が卒倒しそうなほどの眩しすぎる笑顔を見せたのだった。