「あ、そうだ。コレ」

一緒にのんびりとした休日を過ごした帰り際、雪さんから差し出されたのは小さなリボンが付いた鍵だった。

「これって…」
「ここの合鍵。好きに使ってくれて構わないから」

わ…好きな人から合鍵もらえるってこんなに嬉しいことなんだ。

「ありがとうございます」
ふわふわとしたような幸せを噛みしめながら、受け取った合鍵を思わずまじまじと見つめてしまう。

「茜ちゃん?」
「あ…すみません!なんか嬉しくて、つい」

なんだか恥ずかしくなって、手の中にあった視線を慌てて上にあげると…なぜか少し困ったような雪さんの笑顔が目に入った。

「雪さん?」
「…ほんと、帰したくなくなるからそういう可愛いのは一緒にいられるときにして」

言い終えるより先に抱きしめられて、胸がきゅうっと甘く締め付けられる。
伝わってくる気持ちごと受け止めるように、私も彼の背中に腕を回していった。