極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

「先輩、返事帰ってきました？」
「ううん、既読にもならない…」

はは…と自嘲気味にこぼした笑い声は、金曜日の夜でいつもよりも残業する人が少ないオフィスにやけに響いた気がした。

「先輩…」
「茜ちゃん、美月ちゃん！」

そんな時、暗い空気を吹き飛ばすかのように後ろから明るい声が聞こえて振り向くと、同じ課の先輩である小林先輩がにこにこしながら立っていた。

「今日これから制作企画課の子たちと飲みに行こうって話になってるんだけど、よかったら一緒に…ってなんか私タイミング悪かった？」
「あ、はは…すみません、大丈夫です」
「飲みに…先輩、行きましょう！気晴らしに！」
「うん、そうだね」

沈んだ気持ちを振り切るように美月ちゃんと顔を見合わせ、私たちは小林先輩のお誘いを受けることにした。



「あ、企画課の人たち先に着いてるみたい」
お店に到着して案内された席向かうと、そこには私のよく知る人の姿があった。

「茜！」
そう言って手を挙げて微笑んでいるのは、幼馴染の御堂 秋。小さい頃からご近所さんの秋ちゃんは２つ年上のお兄ちゃんみたいな存在だ。

「そっか、茜先輩と御堂先輩って幼馴染なんでしたっけ」
「うん、なんか世話焼きのお兄ちゃんって感じだけど」
「面倒見がいいって評判ですもんね！ていうか御堂先輩、仕事もできるし、優しいし、なによりあの容姿だし…たぶん社内では１番人気かと」
「え、そうなの？」

確かに面倒見がいいっていうのは納得できるけどそんなに人気があったとは思いもしなくて、少し驚きながら手招いてくれた秋ちゃんの向かいに美月ちゃんと一緒に腰を下ろす。