極上求愛～過保護な社長の新妻に指名されました～

「えっと、実は…」

最近年上の彼氏が出来たこと、その彼と付き合った翌日に別れたきり連絡が来ないこと。
こういうときにどうしたらいいのかわからないこと…が伝わるように、今までの出来事をかいつまんで話すと。

「…それ本当に付き合ってるんですか？」
一通り聞き終えた美月ちゃんの一言目は、グサッと深く私の心を突き刺した。

「夢だったのかな…」
「いや、違うと信じたいですけど」

携帯を開いて、登録された相沢さんの連絡先に目を落とす。

「連絡しましょう。貸してください」
「え、ちょっと待って」
「電話じゃなくてメッセージにしますから大丈夫です」
「それ何が大丈夫なの！？」

言うや否やひょいっと私から携帯を取り上げると、美月ちゃんは細い指で素早く文字を打ち込んでいく。

「出来ました」

そんな言葉とともに美月ちゃんから返された携帯の画面には、すでに送信済みのメッセージが表示されていた。

「あああ、美月ちゃん…」
思わず出た声にならない声と一緒に携帯を握りしめていると、美月ちゃんが口を開く。

「心配しないでください。シンプルですけど、たぶんそれが最善かと。相手の気持ちを知りたいときは「確かめる」んじゃなくて「伝える」方がいいんです。愛情表現はまずは自分から。そうすることで相手から返ってくるものですよ」
「確かめるんじゃなくて、伝える…」

…まぁ持論ですけど、そう付け加えて微笑む美月ちゃんの言葉の数々には妙に説得力があって、なんだか少し心が落ち着いた。

何者なんだろう美月ちゃんって…そう思った言葉は飲み込んで、私は目の前のハンバーグを口に運んだ。