「茜ちゃん」
抱きしめる腕を緩めて私を見つめる相沢さんの瞳は、射抜くようにも誘うようにも見えて、思わず目を伏せた。

「もっと、顔…見せて」
熱い熱を宿した瞳に顎を掬われ、視線が絡み合う。
ゆっくりと近づくその瞳を受け入れるように、そっと目を閉じた。

「…可愛い」
「っ、はぁ…」
落とされるキスはあっという間に深くなって。
溶けそうになる思考を必死で保ちながら、答えるのに精一杯な中で合間にやっと息を吐く。

「やっと遠慮なくキスできる」
「え…?」
「これでも最初は気、遣ってたんだよ?」
「な…っ」

あれで?という私の思いは声にならないまま、溶けていく。

はらり前髪が落ちて、じわりと滲む色香が容赦なく迫ってくる。
唇から頬、首筋へとキスして、耳たぶを甘く噛みながら相沢さんが囁いた。

「これ以上いったらほんとに止まんないけど…いい?」
返事の代わりに頷くと、視界が反転して…背中が柔らかなベッドに触れ、艶やかな瞳が私を見下ろした。

「大切にする…だけど、手加減できなかったらごめん」
「…っ!」
ちぐはぐなそんな言葉を口にする蒸気した相沢さんの顔は、ほんのり赤い。

「好きだよ」
そう耳元で響いた声は、今までのどれよりもずっとずっと甘く私の胸に響いていった。