極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~

「ふふ、急に女々しくなっちゃって」
「それも、自分が一番わかってます」
「まぁもう少し信じて待ってあげたら?茜ちゃんならちゃんと話してくれるんじゃないの」

小さく笑う気配がしたあとに続けられたその言葉は、俺に大切なことを思い出させた。

無条件に信じてくれて、無理になんて聞かずにいつでも俺のタイミングを待っていてくれる…それがいつも茜が俺にしてくれることだということを。

なのに。

「待つと伝えるは、どっちも欠けちゃだめなのよ!ていうかそもそもねぇ…」

素直に伝えようとした感謝の言葉を見事に遮ったのも、そんな彼の言葉だった。

「相手をコントロールするテクニックっていうのは女の方が持ってるものなんだから」
「え?」
「だからもし男が女の異変に気付いたとしても、その頃にはもうすでに女は離れることを決意したあとなのよ」

…離れる?決意?その部分だけが嫌に頭の中に響いて、残る。

「っていうことも覚えときなさいよ、今後のために。…って、雪?聞いてる?」
「あぁはい…聞いてます。肝に銘じておきます」

通話を終えた携帯電話をデスクの上に置き、体重を預けた椅子が小さく軋んだ音を立てる。

「…こんなんじゃユウの言葉も否定できないな」
天を仰いだままこぼれたそんな自嘲めいた呟きは、自分の心に突き刺さるだけだった。