甘えられるのはあなただけ。

倉庫から出て、私たち社員が毎日毎日通っているビルに入っていく。
入ってもなお私の服の袖から部長は手を離さない。

どうやらそんな私たちを社員がチラチラと見ているが、その視線さえも部長は全く気にしていないようだ。

その部長とは反対に私はその視線を気にしてしまい、下を向くことしか出来なかった。

ようやくエレベーター前まで来て、部長が10階のボタンを押す。


「遥架?どうしたんだ、下なんか向いて。まさか、これだけで疲れたとか言わないよな…。」


言うわけないでしょ、私のことバカにしすぎだわ。


「こんなもんで疲れませんよ。ただ、その手を…離してほしいだけです。」


部長は自分の手がある方に視線を動かす。そうすると、部長は首を横に振る。


「いや、まだ離さない。」