そういうと口の端を持ち上げて楽しそうに笑う。


「へぇー言ってくれるね。あんた。」


多分面白がってるな。いや、多分めちゃめちゃ面白がってる。


「あんたじゃなくて三國 美麗よ。」


そういうと彼はそれを復唱するように言った。


「美麗か…名前は綺麗だね。」


そう言って微笑む口元。


顔の口元しか見えないってなんなのよ。


「ちなみに俺の名前は向井 薫。」


別に覚えなくてもいいけどと一言を付け足し苦笑した。


「向井くんってムカつくね。」


そう言い争っているうちに周りはそれを楽しそうに見つめていた。


「じゃあこれからよろしくね美麗?」


そう言って私の頭に手をポンとのっけて笑った。


「な、なに!?汚い手で触れないで!」


私が慌てて行った時には向井くんは雪弥くんともう少し遠くにいて手をひらひらと後姿でふっていた。