道を走っていると何かにぶつかる。


どすっ。


「あ、あのすんません。お怪我はないですか?」


「大丈夫や。その前にお嬢さん?あんまり夜道一人出るかんようにな。」


その声の持ち主に私は驚いた。


「か、薫!???」


そこにはニッと笑う薫がいて私の涙を止めるために綺麗な花をくれた。


「私にくれるんか?薫?ほんまにありがとうな?」


そういうと薫は何も言わずただ私をその場で抱きしめ包み込んでくれた。


私は薫の胸でたくさん泣いた。


昔の悲しみに蓋をするように。


「さぁーてと薫くん俺と戦おうか?その女をかけて。」


そう言ってニヤリと笑った男は今日の町に姿を隠していた。


その不穏な音は夜空の星には似合わないような木々が揺れる音だった。