すると横から頭を薫に叩かれた。


「誰?あいつ?」


薫の声には少し怒りが混じっていて私はゆっくり話し始めた。


「昔の好きな人なの。」


そう。それは昔のこと。


近所に可愛い男の子がいた。


名前は本郷 旭。


有名な茶道家の一人息子だった。


私の母書道家で父は大手弁護士事務所の所長ってこともあって家族ぐるみで中が良かった。


でも旭は徹底的に弱くて男の子とかによくいじめられてたのを私が助けてた。


でもあるとき私が男子に絡まれてるときに一回だけ助けてくれてお礼を言おうと思ったけど引越しが決まってていいに行けなかった。


ありがとうって。好きって。


そういうと薫は私の頭に手を乗っけて言った。


「どうせまだ合宿は続くんだし会いに行けば?」


そう一言だけ言って薫は部屋へと戻ってしまった。


私はそのときチクリと胸が痛んだこと。


この想いはきっと勘違いだと思って蓋をした。


私は早速部屋に入って小夏にさっきの出来事を全部話したのだった。