その吸い込まれそうな雰囲気に私はブンブンと首を振っていった。


「上等じゃないの!受けて立ってやるわよ!」


「そうこなくっちゃ!」


早めのホームルームが終わり下駄箱へ行くと向井くんが私を見つけて駆け寄ってきた。


「帰ろ?」


「なんでよ!1人で帰る!」


でも結局数分後には2人で並んで歩いているのだから不思議なものだ。


帰り道におばあさんが自転車が倒れフルーツが転がっていく。


私は向井くんにバックを押し付けた。


「ごめん。これちょっと持ってて!」


いきなりのことで向井くんは意味がわからないという顔をしていた。


数分後。


「おばあちゃんどこまで持っていけばいい?持つよ?」


そういうとおばあさんは嬉しそうに微笑んで道を教えてくれた。


「あなた近くの高校かしら?とてもいい子ね!今時の子にもまだこういう子が残っていたなんて私、嬉しい!何かお礼をしないとね!」


「お礼はおばあちゃんのその笑顔とありがとうの言葉で充分だよ!」