恋はいつだってあなたのそばに転がっているのです。

よく周りを見ましょう。


「なわけないだろー!」


部屋の中で私は大声で叫んでそのありがたい言葉の書かれた恋愛本エッセイを投げ捨てた。


「ねぇーちゃんうるせぇーよ!」


むかつくぐらい顔が整っている我が弟。


三國麗音。


「だいたい干物女のねぇーちゃんがそんな本読んでも無駄!」


学校へ行く準備をしながらネクタイを結び終えて朝食をゆっくり優雅に食べる弟はニヤニヤしながら私を見て笑った。


図星をついてくるあたりマジで可愛くない。


私は高校三年生の三國 美麗。


干物女なんでめっそうもない。


確かに部屋着はTシャツに学校で使う体操服のズボンだけど…。


心は乙女ですとはいえ高校三年生になって恋愛に関しては夢も希望もない。



それに相手もいない。


玉砕を繰り返してもう何年でしょーか。


私たちの両親は海外に行っているから今は弟との二人暮らし。


家事は弟と半分ずつこなしている。


弟は勉強も運動もできて女子によくモテる。


容姿は悪くないと言われるも中身が男子らしい。


「ねぇーちゃんもさっさと彼氏の1人や2人作れよ!先行くからな?」


サッカー部の朝練かなんかで学校へ先に行った麗音。