大切なキミの一番になりたかった。

もちろん反対したものの、押し切られてしまい、今ユウくんと私はこっそりと病院を抜け出したところ。

すぐにバスに乗り込んだものの、気になってしまうのはユウくんの体調。

「ユウくん、大丈夫?」

心配になり聞くと、ユウくんは満面の笑みで答えた。

「大丈夫だって。知花、心配しすぎ」

「心配するに決まっているじゃない! 病院抜け出してきちゃったわけだし。絶対怒られちゃうよ?」

一応書置きは残してきたけれど、戻ったら怒られることは明白だ。

「いいよ、怒られても。……知らずに一馬と離れ離れになるよりうんとマシだ」

バスに揺られながら、ユウくんは言った。

「知花、話してくれてありがとうな。知花が話してくれなかったらきっと俺……知花や一馬、両親のことを恨んでいたと思う」

「ユウくん……」

ジッと彼を見つめてしまっていると、ユウくんは白い歯を覗かせた。

「最後にふたりで一馬に言ってやろう。……手紙で伝え続けてきたことをすべて」

「……うん」


私も一馬に直接会って伝えたいことがたくさんある。笑顔で頷き、ふたりで一馬の家へと向かっていった。