大切なキミの一番になりたかった。

いつも通りこのまま病院を後にして、私ひとりだけ一馬の見送りに行ってもいいのかな?

その答えがわからなくて、ずっと悩んでいる。

「言っておくけど、俺にはバレバレだからな? どうした?」

けれど、どうやらユウくんには私が悩んでいることを見抜かれてしまっていたようだ。

かけられたやさしい声色に迷いが消えていく。

やっぱりユウくんにも話そうって。だってなにも知らずに突然一馬がいなくなってしまったら、ユウくんはもっと悲しむと思うから。

「知花……?」

首を傾げ私の名前を呼ぶユウくんに、意を決し告げた。

「ユウくんあのね……」




「ユッ、ユウくん! 本当に大丈夫なの!?」

「大丈夫。リハビリも頑張ったから」

声を潜め問いかけるも、彼は笑顔で「大丈夫」の一点張り。でも私は不安で仕方ない。

ユウくんに一馬が今日引っ越してしまうことを話すと、彼はすぐにこう言ったんだ。『俺も見送りに行く』と。