大切なキミの一番になりたかった。

「知花ちゃんには感謝しているわ。……今まであの子と仲良くしてくれて、本当にありがとう。もし都合つけば明後日、見送りに来てあげて。あの子、喜ぶと思うから」

「……はい」

返事をするだけで精いっぱいだった。

一馬がいなくなる。……理由に納得できても、悲しくて辛い。

私じゃなんの力にもなれなかったことも、大切な人が遠くにいってしまうことも……。



「知花、なにかあった? 昨日から様子がおかしいけど……」

「……え」

迎えた一馬が引っ越ししてしまう日。

昨夜、おばさんが家に挨拶に来た。今までお世話になりましたと、今日の夕方に出発することを告げに。

私はずっと迷っていた。一馬が引っ越すことをユウくんに伝えるべきかどうか。


だってユウくん、やっと怪我の傷も、心の傷も少しずつ回復しているところなのに。……こんな話を聞いたら、ショックを受けるに決まっている。

お母さんに相談したら、ユウくんのお母さんに電話で相談してくれて、ふたりからも「今はまだ伝えないで」と言われているけれど、本当にそれでいいのか今もわからない。