大切なキミの一番になりたかった。

美野里のお兄ちゃんだから? 好きな人の言葉だから?

理由はわからないけれど、私もまたユウくんのおかげで前向きになれている。

感謝するのは私の方だよ。


それからいつものようにユウくんと他愛ない話をしながら、和やかな時間を過ごし病院を後にした。



「知花ちゃん、ごめんなさい。呼んだんだけど、やっぱり今日もダメみたいで……」

病院から真っ直ぐ向かった先は一馬の自宅。

リビングに通してもらい、おばさんが一馬の部屋に呼びに行ってくれている間、ドキドキしながら待っていたけれど、やっぱり今日も一馬は会ってくれないようだ。

「そう、ですか」

思わず落胆してしまう。もしかしたら今日は、一馬と会える気がしたから。

「ごめんなさい、毎日来てくれているのに」

「そんな全然です! 私が勝手に来ているだけなので」


「ううん、本当にありがとう。勇心くんにも手紙を書いてもらっていつも感謝しているわ。ちゃんと一馬に渡しておくわね。……そうだ、よかったら上がっていかない? いただきもののカステラがあるのよ」

「すみません」