「あ、そうだこれ」

そう言うとユウくんが私に差し出したのは、一通の手紙。

「今日も一馬に渡してくれる?」

「うん、ちゃんと届けてくるね」

ユウくんから受け取った手紙を、忘れないようにすぐバッグの中にしまった。

「今日は一馬、会ってくれるといいな」

「……うん」

あと三日で夏休みも終わる。その前に一馬と会いたい。

だってこのままだったら、一馬は学校にも来なくなってしまうんじゃないかって思うから。

一馬のことが心配で唇をギュッと噛みしめてしまうと、ユウくんは明るい声で言った。


「大丈夫だよ、なんて言ったって一馬は美野里が好きになった男だ。……そんなあいつならきっと立ち直れる。……美野里のためにも」

力強いユウくんの言葉に、また目頭が熱くなってしまった。


一馬とは一度も会えていなくて、彼が今、なにを思ってどう過ごしているのか知ることができない。なのにどうしてだろう。

ユウくんの言う通り、一馬なら立ち直れるって思えてしまうのは。