それから俺たちは人ごみをかき分けながらみんなを探した。

「柊馬」

すると後ろから呼び止められた。

「凛子」

そこには幼なじみの凛子が立っていた。

「そちらは彼女?」

「いや、友だちだよ」

「そう、仲がいいのね」

そう言って凛子はつないでいる手に視線を向けた。

「ああ……」

俺はつないでいたてをそっと話した。

結姫はうつむいていた。

「ねえ、よかったら私たちと一緒にまわらない?」

「そうね」

と凛子と一緒にいた2人が話しかけてきた。

「いや、俺たちはみんなを探してるんだ。だからすなまい」

「そう……」

凛子は落ち込んだように言った。

「あなたお名前は?」

凛子は結姫の顔をのぞきこんだ。

すると結姫は後ずさりをした。

「藤白結姫です……」

「よろしくね」

と凛子は笑顔で言った。

「よろしくお願いします……」

と結姫は小さなこえでこたえた。

その時の結姫の顔が少しおびえているように見えた。

気のせいだったのだろうか。

「じゃあね」

そう言うと凛子は他の2人と再び歩き出した。