ロング・バケーション

スマホを弄ろうが何をしようがやりたい放題よ、と言い返した。


「凛ちゃんは効率重視者だよね」


自分は食べてる間が幸せだと言う一咲に目を向け、だから最近顔が丸くなったんじゃないの！？と考えた。


「私はリアルが充実してないから少しでも逃避したいだけよ」


「あー、なんかそれ少し分かる」


自分もそうだよと話す一咲だが、彼女には遠恋の恋人がいるのを私は知っている。

何が分かるんだと言いたくなりそうなのを我慢してズルズルと蕎麦を啜った。



「……ところでさ、一咲」


ズズズ…と蕎麦の汁を吸い込み、さっき城島ドクターに誘われたんだけど…と話してみようかと思ったが。


「ん？」


エビフライに齧り付いたまま振り返る一咲を見ていたら言う気が失せた。何だか笑い者にされそうな気がして。



「いいの。何でもない」


所詮は彼氏持ちの一咲だ。
揶揄いでも何でもいいから乗ってみれば〜？と軽く言われてしまうに違いない。


丼に目を向け直し手早く蕎麦を食べきると、その後はスマホを取り出してゲームを始める。