ロング・バケーション

「何を大きな声を出しているの?」


母の腕からこぼれ落ちるように三匹の愛犬達が集まってくる。

ポメラニアンのメグは祖父が大好きで、私が他の二匹を抱き上げると、自分は祖父の足元へと走り寄った。


「メグは素直で可愛いな」


完全に私への逆恨みを込めた言葉だな…と思い、祖父との喧嘩は一時中断することになった。


母は一緒に夕食を食べない?と誘ってくれたが、私は気分が悪くて、今日はやめておくと断り、実家のマンションを後にした。


大きな溜息を吐きながら真っ直ぐ部屋へ帰る気にもなれないでいるところへ、城島ドクターからの電話が入った___。




「もしもし!?」


不機嫌な口調で出たからだろうか、ドクターは一瞬息を吸い込んで閉口した。


「………凛…さん?」


窺うような感じで名前を呼ばれ、しまった…と焦るが間に合わない。


「どうした。機嫌が悪いな」


またしてもタイミングが悪い。
ああ…と額を抱え込みながら、ちょっと色々とありまして…と言葉を濁した。


「色々?」


何だと聞きた気なドクターに、話しても仕様がないことです、と断る。