「おじいちゃん……」


話す前から次々と言葉を投げ掛けてくる祖父に呼びかけた。
何だねと訊ねる祖父に向かい、きっぱりと言い渡した。


「私は、この家の土地建物には興味がありません。…そりゃ、先祖が代々大切にしてきた土地の上に建っているものだから、お金には代え難い価値があるとは思っています。

…でも、私の結婚と土地建物を同じ様に思うのは止めて。私はそんなものとは関係なく、自分が好きだと思う人と結婚したいと考えています」


「なんと!」


祖父は驚いて目をますます大きくする。
面と向かって歯向かう私をあまり見たことがないから、少し驚いているようだった。


「自分が好きな人とはどういう意味だ!凛、まさかお前、好きな男でも出来たのか!?」


いつの間に…という感じで見返す祖父にイラッとしながらも、城島ドクターのことを話してもいいのかどうか迷った。


「どうなんだ。はっきり言いなさい!」


どうして親でもない祖父がこんなにも煩いのか。

それは、父が婿養子で、元々は祖父母が住んでいたこのマンションに、両親が祖父のお世話を兼ねて同居することになったからだ。