ロング・バケーション

ゆらりと立ち上がり、お財布の入ったミニバッグを片手に医務室を出た後、今のは本気で言ってたの！？と疑いだす。


（遊び人の先生が私を揶揄っただけじゃない？）


本気にするのはやめておこうと思いつつ社員食堂へと足を運んだ。
少しだけときめかして貰えてラッキーな気分だと考えていた。




社員食堂に着くと仲のいい総務課の女性社員がお昼限定のランチを食べていた。



「一緒してもいい？」


さっさと食べれる蕎麦定食の自分とは違って豪華だなぁと思いつつ、どうぞどうぞと勧められた椅子に腰掛ける。


「今日も麺類？昨日もそうだったでしょ？」


総務課の社員、木場一咲（こば かずさ）は覗き込むようにしてトレイの上に置かれた丼を見て言った。


「早く食べれて直ぐにエネルギーに変わるものを選ぶとこうなるのよ」


麺類は炭水化物だから消化が早い、と勝手にそう思っている。


「だからってあんまりじゃない？パスタとうどんとラーメンと蕎麦の繰り返しなんて」


嘆かわしく思われているようだがいいじゃない別に…と強がり箸を握る。


「早く食べ終われたらその分休憩時間も自由だし」