ロング・バケーション

「本当です!私はただ、噂されると今日のようになるのが見えてて、だから嫌だった部分もあっただけです」


「でも、おかげで公認の仲になれたよ」


「公認すぎて恥ずかしい限りです」


「俺は平気だけど」


「私は平気じゃありません!」


肩に力を入れながら抵抗するも、ドクターはまあまあ…と言いつつ、殻を剥いたエビを私の取り皿の中に入れてくる。


「凛さんの気持ちも分かるけど、今はとにかく鍋を食べようよ」


今夜はアルコールも飲めるしね、と言って上機嫌な顔で熱燗を飲み込む。


実は彼とじっくり話がしたいと言って自分の部屋へ連れてきたのだ。
彼が寒いなぁーと言うものだから夕食は鍋にしようと思って出汁を取った。

具材は冷蔵庫の中に実家から貰って帰った食材が残っていて、それを惜しげもなく投入した。


「ん〜、旨い」


お猪口から唇を離したドクターは、次は何が食べたい?と私に聞く。


「私は自分で取りますから大丈夫です。先生はご自分の分をよそって下さい」


「俺は凛さんに取ってあげたいんだよね」


「私は子供じゃないですから」