ロング・バケーション

それだけではないと思う私は、慌ててそれを否定しようとした。


「あ、あの…」


「でもさ」


取り成そうとするよりも先にドクターが言い返してきた。


「俺はこれまでになく本気だから」


そう言うのを聞いて、隣にいる一咲がパシン!と肩を叩いた。

きゃー!と言いながら燥ぐ彼女の声も耳に入ってこないくらい、私の胸は鳴っていた。


目の前に座っているドクターの顔は真剣そのものだった。
まさか三日前と同じ表情を二度も見るとは思わず、私はただひたすら困惑していた。


ドクターの本気宣言は周りにいる人達にも聞こえていたようだ。皆は唖然として、誰もが私と彼を呆然と見ていたらしい。

先に食事を終えたドクターが席を立った後、一咲からそれを聞かされた私は「えっ、そうだったの!?」と驚いた。



「もう、凛ちゃんたらー」


ラブラブに想われてるじゃん、と話す一咲の言葉に気が引ける。

あそこまで彼を本気にさせることなど何一つしてないのに…と思い、嬉しいけれど戸惑いが胸の中に広がっていった……。