彼女の目元は真っ赤に腫れ上がっていた。
ずっと泣き続けていたようで瞼が重く垂れ下がり、鼻の頭も赤く染まっている。
「城島さん…」
声は掠れて鼻にかかっていた。
ドクターは一礼しながら二人に近付き、娘さんの具合はどう?と聞いた。
「今はまだ何とも。とにかく薬を投与して熱を下げるのが先決だと教えられて……」
弱々しく語る矢神さんの隣で男性がスン…と鼻水を啜る。
その人は彼女から彼を紹介され、この病院への紹介状を書いてくれたドクターだと教えられると立ち上がった。
「この度は、娘がお世話になりました」
頭を深く下げている人は、どうやら矢神さんの別れた旦那さんみたいだ。
娘が命に関わる病気だと分かり、気が動転した彼女が彼を頼ったのだろうか。
「いえ、私は病院を紹介しただけです」
一刻も早く良くなることを願っています、と話すドクターの背中を見つめながら、私は胸の中で手を合わせた。
彼と一緒に私が訪れたことなど眼中にないくらい、矢神さん達は憔悴しきっていた。
その痛々しい姿に胸が押し狭まり、ぎゅっと潰れそうな痛みを感じた。
ずっと泣き続けていたようで瞼が重く垂れ下がり、鼻の頭も赤く染まっている。
「城島さん…」
声は掠れて鼻にかかっていた。
ドクターは一礼しながら二人に近付き、娘さんの具合はどう?と聞いた。
「今はまだ何とも。とにかく薬を投与して熱を下げるのが先決だと教えられて……」
弱々しく語る矢神さんの隣で男性がスン…と鼻水を啜る。
その人は彼女から彼を紹介され、この病院への紹介状を書いてくれたドクターだと教えられると立ち上がった。
「この度は、娘がお世話になりました」
頭を深く下げている人は、どうやら矢神さんの別れた旦那さんみたいだ。
娘が命に関わる病気だと分かり、気が動転した彼女が彼を頼ったのだろうか。
「いえ、私は病院を紹介しただけです」
一刻も早く良くなることを願っています、と話すドクターの背中を見つめながら、私は胸の中で手を合わせた。
彼と一緒に私が訪れたことなど眼中にないくらい、矢神さん達は憔悴しきっていた。
その痛々しい姿に胸が押し狭まり、ぎゅっと潰れそうな痛みを感じた。

