私の言うことなど、彼にとっては重いだけなのだろう。
だって、付き合ってみない？と言われてから数日しか経ってない。


ぎゅっと唇を噛み、手を握って歩き続けた。
駐車場の出入り口まで来ても追ってもこない彼に失望感を抱いていた。


（そうだよね。こんな面倒くさい女なんて、先生にとっては無駄な付き合いでしかないんだ……）


遊び相手なら幾らでもいる。
だけど、私は彼の遊びの駒にはなりたくない。

彼の態度に一々イライラしたくないし、イケメンだからそんなのが当たり前だと割り切って考えられもしない。

付き合うのなら真剣に付き合いたい。
きちんと未来を見越しながら安心して付き合いたい。


（贅沢だよね。そんな風に思うのなんて）


だから、やっぱりお見合いがいいのか。
祖父の思惑に乗る方が正解なのかな…と、大きく息を吐き出した＿＿＿。



ぎゅっと腕を握られたのはその直後だ。
ビクッとなり、全身が強張った。


「待てよ。言い訳くらい聞けば？」


明らかに怒った様な声に驚くと同時に怖さを感じる。
本気で怒らせてしまったのかと振り返りながら焦った。