そう言うとドアを閉めて逃げ出した。
昼間のことについて問い質すのも何だかおかしい気がしてきて。


「凛さんっ!?」


驚く彼の声を背中で受け止めて歩き出す。
勿論彼は追いかけてきて、ぎゅっと私の腕を掴んで止めた。


「どうしたんだよ。いきなり」


困惑気味に声をかけ、二の腕を掴んでいる手に力を込める。


この間から私はずっと彼の思う通りにはいかない女だ。
ドクターもさぞかし呆れているだろうなと思う。


振り返ると彼の神妙そうな目線とぶつかる。
きゅんと胸が鳴るのを感じて唇を噛み締めた。



「私は……」


そう言いかけて言葉に詰まる。
次の声を出すことを少しだけ躊躇った。


けれど__



「私も他の人と同じ扱いですか?」


そう聞くとドクターは不思議そうにえっ?と言った。
自分の中で、これは間違いなく嫉妬だと思いながらも続けた。


「私もこれまで付き合ってきた人達と同じ扱いを受けるのかと思ったら歯痒くなって。それなら先生とは付き合わない方がいいのかなと思います」


幸いなことにこの縁が駄目でも他がある。