ロング・バケーション

(何よ、あれ)


彼処へ行って、ふざけるな!と言いたくなった。
それくらい彼の態度にイラッとした。


立ち上がると、私は反対側のテーブルに着き直した。

二人に背中を向けてブルブルと小刻みに震えている右手でフォークを握り、あまり噛まずに丸飲みに近い感じでパスタを食べ始める。

勢いに任せてスープもサラダも同様に食べきってしまったのに、お腹の何処へ入ったかも分からないくらい気持ちがグラついていた。


食べ終えて椅子から立ち上がった時、既に二人の姿は食堂にはなかった。

ホッとしながらも心中は穏やかにならない。
矢神さんの背中を撫でる彼の手を思い出すだけで、胸の奥から憤りが沸いてくる。


少し落ち着こうと思い、自販機で買ったアイスココアを一気飲みしてみたが、顳顬がキーンと痛むだけで何の代わり映えもしなかった。



休憩後の業務は散々だった。
私らしからぬ仕事ぶりね、と国村主任からも笑われたくらいに抜け落ちてばかりいた。


こんな時はさっさと部屋に帰ってお風呂にでもゆっくり浸かった方がいい。けれど、城島ドクターに仕事が終わったらラインすると約束している。