医務室に帰るとドクターが休みなのに施設内にいた理由は、感染性胃腸炎の疑いがある患者が出た、と国村主任が彼に報告を入れたからだと知らされた。

その人は昨夜からずっと発熱と嘔吐が続いていて、その診察をする為に施設へと出向いて来たそうなのだ。


「でも、呆れると思わない?ただの食べ過ぎだなんて」


幸いにも検査の結果ウイルスは検出されず、単に家族が自宅から持って来た料理を食べ過ぎて、嘔吐しただけだと判明した。


国村主任も慌ててドクターを呼び出してしまったことを後悔していて、申し訳ないと話していた。


「病棟の職員の話では、便秘も重なってたから嘔吐したんじゃないかと言うのよ。それで、その人に必要なのは医者よりも下剤だねと言って笑われてしまったの」


多分さっきもそれに近い話を病棟の職員や患者達としていたのだ。

自分の気を引く為に職員達と話し込んでいたのではないのだと知り、なんだ…と気が抜けてしまった。


「先生は今日一日外来で仕事をするそうだから、何かあったら報告してね」