まだ交際二日にも満たないのに名前呼びされているが違和感もない。むしろ、何だか自然な感じがして__


『また固まってる?』


想像出来たらしい彼がほくそ笑む犬のスタンプを送り付けてくる。

昨日の私を見て彼がギャップを感じて萌えてくれたのならラッキーだけど、今まで噂のあった女性達と比べ、同レベルかそれ以下だと思われていたらショックだ。


『思いきり固まってました。明日また職場で』


いきなりエンドな言葉を送り付けてしまった。
既読したドクターは少し間を空け、『またね』と返してきたが、随分素っ気ない女だな…と思っただろう。



「どうも慣れないな。こういうの」


暗くなるディスプレーを見つめて吐息をこぼす。
バッグの中にある釣書の存在が重い…と肩を落としながら部屋に帰った。