「写真も入っているよ。なかなかの好青年だと私は思うんだがな」


母も既に目を通しているらしく、なかなか感じのいい人よ…と言いだす。



「え〜〜っ」


困ったな…と二人の顔を眺めて思った。
昨日彼氏ができたばかりなんだけど…と、このタイミングでは話し難い。


「とにかく見てご覧。相手は私の孫なら大歓迎だと言ってくれてるんだ」


祖父は嬉々としながら封筒の中身を広げる。こっちは見る気もないのに〜!と心の中で叫びまくっていた。


釣書には氏名や生年月日から趣味、特技に至るまで、丁寧な文字で綴られている。

祖父はまるで本人のようにそれらを読み聞かせ、スーツ姿と私服の二種類の服装をした写真を最後に見せた。


「仕事ぶりはいたって真面目。女遊びもしないし、いい旦那さんになりそうな人だよ」


眼鏡を掛けた男性は、確かに型に嵌ったような好青年風だ。昨日ドクターの申し出を受けていなければ、多分会ってもいいかな…くらいには思った筈だ。

だけど、昨日ドクターには付き合うと言ってしまったし、今更なかったことにして下さい…とは言えない。



(うーん。困った)