ニコニコしながら話す祖父にプレゼント?と小首を傾げる。
頷いた祖父が振り返ると、母はリビングボードの引き出しを開け、はい…と言ってその手に白い封筒を渡した。



「これだよ」


目の前に差し出される物を見つめ、何これ?お年玉?と問いかける。
もう子供じゃないからいらないよ…と言おうかとしたら、祖父は咳払いを一つして__


「釣書だよ。凛」


大真面目な顔つきでそう言い渡す祖父を見つめ、ツリショ?と一瞬悩む。

モグモグと黒豆を噛みしめながら思い当たる漢字を当てはめ、ひょっとして「釣書」かな…と気が付いた。



「釣書!?」


大袈裟に驚いて目を見張ると祖父はまたしてもにこやかな笑みを浮かべて「そうだよ」と返す。
ポカンとしたまま顔を眺めていたら、凛も年頃だからね…と言いだした。


「どこの馬の骨とも分からない男と付き合われては困るから、きちんとした相手を見繕っておいた」


相手は不動産業を営む男性だと言う。
いつも自分の不動産を管理している人の息子さんだと話し、まあ目を通してみなさいと勧められた。