ロング・バケーション

名前を呼び掛ける彼に振り向き、お休みなさい…と言うのが精一杯。
これ以上一緒にいたら、きっと自分のバージンなんて簡単に彼に捧げてしまう。


そしたら他の女子と同じ。
飽きられて直ぐに捨てられてしまう__。



(それは嫌だから…)


そう思って背を向けた。
一歩ずつ歩き出しながら、背後にずっと彼の熱い視線を感じていた……。



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『どうしてそこで帰ってくるの~!?』


オーマイ・ガー!と嘆くスタンプを張り付けた言葉が入ってくる。

ラインの相手は一咲で、実はドクターに誘われたんだ…と休日に入る前に教えていた。


『今頃はきっとセンセとベッドの中かなと思ってたのに~!』


予想と違うと悔やまれる。
『そんなに簡単に寝たりしないよぉ…』と送ったが、『そこは寝て!』と、ソッコーに文字が返った。


『相手はあの城島航だよ!?』


勿体ないと言ってきて、だから躊躇うんだ…と言っても、きっと一咲には分かって貰えないんだろうなぁと思う。



『それでセンセは?』