ロング・バケーション

「職場での凛さんはキビキビとした印象だけど、今日は丸っこくて愛らしいよ」


「えっ…」


今のは明らかに褒め言葉に聞こえた。
イケメンドクターに褒められた!?と思わず目線を合わせた。


「ほら、そんな風に真っ直ぐ目を見るところは職場と変わらない」


だからギャップを感じるんだよね、と笑う彼に私の心臓は勝手に疼きだしてしまう。


(これもイケメンパワーってやつ?…だとしたらマズイよ)


今夜は絶対にベッドに誘われないぞと意気込んで来たのに、このままだとあっさりバージンを彼に捧げてしまいそうだ。



「そろそろ出ようか。ランチでも食べに行こう」


またな…とダックスの鼻先に自分のを合わせている。

ニッコリと笑いかけるドクターの横顔に胸が鳴り、どうにも力があり過ぎる言動に、一々ハマってしまいそうだと焦った。


マズイな…と思いながらも疼きだした心臓の音は止まらず、ランチに入った店ではスマートにオーダーする姿を素敵過ぎる…と見つめ、店を出た後に連れて行かれたプラネタリウムでは、星を眺めながらずっと手を握っている彼のことで頭がいっぱいになってしまった。