ロング・バケーション

苦々しそうに言い出す祖父に、あのねーと声を荒げそうになった。

こんな日まで何を…と正直ムカついた。


「……だが、どちらも男の選択は間違ってない。それだけは絹江に胸を張って言える」


そう言うと祖父は私の手を取り、おめでとう…とか細い声を漏らした。
そうして目を伏せると足元に光るものが落ちていくのが見え、私の胸はきゅん…と押し狭まる。



「おじいちゃん……」


思わず目の中に涙が溢れ返りそうになった。

それを必死でこぼさない様に努め、息を吸い込んでから「ありがとう…」と返事した。


祖父と和解した後は親戚達も集まり全員で写真を撮り、私は両親や祖父とも一緒にカメラの中に収まった。


それから介添人に導かれながらチャペルへと移動し、父と二人でドアの前に立ち並んだ。



「車での移動中におじいちゃんから謝られたよ」


父はそう言うと、長年の悪態について祖父が自分から謝ってきた…と語った。


「自分が亡くなったら土地と建物を頼むとも言われたんだ」