「……本当に素敵な夫婦だったね」


憧れると話しながら部屋に戻り、ストン…とお尻をベッドにくっ付ける。



「ああ、そうだな」


少しワインで酔ったのか、彼がぼうっとして答えた。


「航さん?」


隣に座っている彼を覗くと、頬が少しだけ赤い。


「酔ったの?」


もう休む?と聞いてみたが、彼はううん…と首を振った。


「誰がそんな勿体無いことをするか。凛と二人だけの時間は暫くないのに」


一週間も休んでしまったから次に会えるのは二週間後くらい先だ。
それも多分日帰りになるだろうし、平日なら診察や往診を手伝うからイチャつく暇もないことは彼も十分分かっている。



「だから、今夜はたっぷり楽しむ」


何を…と言うまでもなく唇が重なり合い、キスがゆっくりと首筋を這いだす。



「私……」


ゾクゾクする快感を味わいながら、さっきの二人のことを思い浮かべた。



「あの人達のように…航さんと愛し合いたい……」


例えばずっと同じ病院で勤めたとしても。
朝から晩まで毎日顔を合わせたとしても。