ロング・バケーション

「私には何もないから。田舎の町生まれで美人でもないし、あるのは身長と肩幅くらいで」


クスッと戯けながら話すのが本来の彼女なんだろう。

私はその努力の賜物がこのホテルの盛況ぶりにあるのだな…と思い、素晴らしいですね…と感心した。


「私なんて街で生まれてはいるけど、それこそ何も持たないし、持っている資格だって准看だけで、その経験もまだ浅くて知識も少ないです」


「それでも彼と一緒に病院を経営されていくんでしょ？共に頑張れる相手と時間があるというのは羨ましくて最高ですよ」


「俺達なんて同じホテルに勤務してても働く部署は別だからね」


だからこうして共にする時間を作っている。
これがお互いのことを癒す時間になっている…と社長さんは熱く語った。