部屋に入ると真っ先に外の雄大な景色に目を奪われた。

若草や萌黄に染まる山々や深い緑に変わりつつある雑木林が見え、空は青く晴れ渡っていて、真っ白な雲が細く棚引いている。



「綺麗……」


窓辺に近づきながらそう呟いた。
ドクターも窓に近寄り、うん…と一言声を発する。


「こんな素敵な場所、泊まったことない」


航さんありがとう、とお礼を言えば、いや…と照れくさそうな顔で微笑みが戻る。

そんな彼を見ていると胸がきゅんと鳴って、それを誤魔化すように室内に目を向けた。


スイートルームはロマンティックな雰囲気に設えられていた。

ホワイトのローテーブルには、ローズカラーの革張りがされたソファがセットで置かれ、壁には大画面のテレビがあり、ルームシアターの設備までが整っている。


部屋の奥にはホワイトとワインカラーでメイキングされたツインベッドが置いてあり、そのどちらもがダブルだと思えるくらいにサイズが大きい。


おまけにミニ座敷が部屋の角に作られていて、そこにはコタツまで用意されていた。


「凄いね。こんないいお部屋を特典として付けるなんて」