自分なんて足元にも及ばない…と笑い、結婚したら毎日お願い…と冗談を話した。


「そういう訳にもいかないだろ。親も同じ敷地内にいるんだから」


自分達は今彼が住んでいる離れにそのまま住むことが決まっている。キッチンもバスも母屋のご両親とは別だけれど、たまには食事を一緒にしようと誘われているのだ。


「まさか、その時に俺が作る訳にはいかないからな」


少しくらい料理の腕を上達させておくように、と言い渡してくる彼に小さく肩を竦めた。



「明日の下見は十時からだったよね」


話を変えようと炊き込みご飯を頬張る。これも美味しいと噛み締めながら、うん…と頷く彼を見た。


「だけど、意外だったなぁ。この町の隣に素敵なリゾートホテルがあるなんて」


そこは全国にチェーン展開されているホテルの一つで、そこの社長がドクターと同じ趣味を持っていることから、是非うちのホテルを使って貰えないだろうかと話が持ち込まれたそうなのだ。



「チャペルも建て直したばかりだと聞いてるし、見に行くのが楽しみ」