自分の実家にも時々彼を招き、五人で一緒に食事もしている。

始めての時に祖父は自分の命を救ってくれたのが彼だと知り、おかげで私の結婚については、何も口を出せない立場になった。



「私ね、ここに嫁いで来たら航さんにお願いがあるの」


繋いでいた右手にぎゅっと力を込めて切り出すと、彼は何だ?と見下ろす。


「お母さんの店に運ばれてくる捨て犬を飼ってあげたいなと思うんだけど無理かな?」


散歩なら自分が行くし…と話せば、いいんじゃないか?と返事が戻り……


「散歩なら俺も行けるし、親父やお袋にも頼もう」


認知症予防には最適だと笑う。
酷い言い方ね…と思ったが、確かに足の為にはなる。



「良かった。ありがとう」


母が聞いたら、ますます彼の株を上げそうだ。


「早く航さんの所に嫁ぎたいなぁ」


ワクワクしてくる気持ちを抑えきれずに声にした。


「だったら明日からでもこっちに住めよ。ロング・ロング・バケーションでも取って」


「それが出来ればいいんだけどね」