おじいちゃんの体調も心配だったけど、明日からはまた仕事が待っているけれど。


「もしかしたら、いずれは住むかもしれない町でしょ。だから、航さんと一緒にそこを歩いてみたいなと思って……」



いい所なんだと言っていた。
そこを教えて欲しいと思った。


「後でいいからデートしてみない?ご両親に会ってお見舞いを済ませてからでいいの」


頬を包む手の甲に自分の掌を近付ける。

そっと重ねると彼の目頭が潤み、私はそれを見て胸が鳴った__。



「凛……」


彼の声に微笑みを返す。
追ってきてくれた人に感謝を伝えるように、はい…と声を出した。

覆い被さるように縋り付く彼の背中を抱き、私はようやく彼の元に辿り着いたと思った。

背後で囁き合う声を気に掛けながら、私達は暫くそのまま抱き合っていた____。