ロング・バケーション

あの時、俺は何故凛が相手と会うのを断らないのかと思った。

口では祖父の財産には興味がないと言いながらも、実は捨てきれないものがあるんじゃないのかと疑ったんだ。


それで、見合いでも何でもすればいいと言った。
そんな隠し事や嘘を吐く女とは付き合えない、と思いが冷めかけた___。


「……俺はずっと、自分の嫁になる相手は平気で嘘を言える人では困ると思ってた。故郷の人達は純粋過ぎて、すぐに嘘や出まかせを信じる傾向にあるから。

それで、あの時は凛も今までの女性達と同じで、平気で嘘が吐けるんだと思い、ショックを受けた。

まさか亡くなったお祖母さんに思い寄せていたとは知らず、距離を置こうと言ったんだ……」


奇跡的に知った凛のことを、今までのどの女性よりも好きだと感じていた。

生真面目だが料理が苦手なところも、ぱっと見はキリリッとしてるのに、私服はふんわりと柔らかくて女性らしいところも気に入っていた。


「それに、母親には日曜日に会わせると言ったのに、その日に縁談の相手と会うとか言うだろ。
何だかメンツが潰された様な気もしてムカついて。

……だけど、俺が間違ってた。凛はやっぱり嘘を吐かないと知って、嬉しかった」