ロング・バケーション

「泰葉、さっき此処にいた人は?」


午前の診療を終えて直ぐ、待合室へと向かったが。


「えっ、ああ、あの人?あの人なら二十分くらい前に出て行ったよ」


受付をする幼馴染がそう言い、知り合い?と問い掛けてきた。


「そうだ」


関係を明かさずに頷くと、泰葉はそうじゃないかなと思ったと言いだし……


「着ているコートも防寒タイプじゃなかったし、路面は滑り易いのにブーツを履いてたから、この辺の人じゃないなと思ったんだよね」


都会から来たんだろうと語り、それで何処に行った!?と問い質した。


「知らないよ。用事があったんじゃないですか?と言うのに、『もういいです』と言って出て行ったんだから」


呆れる声に驚き、バサッと白衣を脱ぎ捨てる。


「午後は休診にする。いいか、往診も受けるなよ!」


そう言うと裏口に回り、ジャンパーを着て長靴を履いてから駆け出した___。





『もしかすると、凛ちゃんが向かうかも』


そうメッセージが入ったのは、今朝のことだ。
凛と仲のいい総務の女子が予め連絡を寄越してきた。



(凛が…?)