そう言うと、再び診察室へと向かいだした。
翻る白衣の裾を見つめながら彼を目で追い、思わず立ち上がりそうになったが……
ぎゅっと手を握ったまま、何も出来ずに俯いた。
彼の背中に、どうして来たんだと言われたような気がして、声すらも掛けれなかった。
「もうっ、怒りんぼ!」
やすは、と呼ばれた女性はブツブツと文句を呟き、患者達にも静かにしましょうね、と話している。
二人のそんな様子を見て、またしても揶揄う人達の声に堪らなくなり、すくっと椅子から立ち上がった。
「どうもありがとうございました。失礼します」
ペコッと頭を下げて三和土に向かう。
受付の女性は、えっ…と声を発し、患者達はポカンとして見送った。
スリッパを脱いでブーツを履き、ファスナーを上げていると小声で……
「何なんだよ、あの態度」
親切にして貰ったのに…と言いたげな声が聞こえ、ぐっと唇を噛み締める。
「……あの、用事があって此処に来たんじゃないですか?」
話し掛けてくる女性を振り返り、そうだとは言い出せず__。
翻る白衣の裾を見つめながら彼を目で追い、思わず立ち上がりそうになったが……
ぎゅっと手を握ったまま、何も出来ずに俯いた。
彼の背中に、どうして来たんだと言われたような気がして、声すらも掛けれなかった。
「もうっ、怒りんぼ!」
やすは、と呼ばれた女性はブツブツと文句を呟き、患者達にも静かにしましょうね、と話している。
二人のそんな様子を見て、またしても揶揄う人達の声に堪らなくなり、すくっと椅子から立ち上がった。
「どうもありがとうございました。失礼します」
ペコッと頭を下げて三和土に向かう。
受付の女性は、えっ…と声を発し、患者達はポカンとして見送った。
スリッパを脱いでブーツを履き、ファスナーを上げていると小声で……
「何なんだよ、あの態度」
親切にして貰ったのに…と言いたげな声が聞こえ、ぐっと唇を噛み締める。
「……あの、用事があって此処に来たんじゃないですか?」
話し掛けてくる女性を振り返り、そうだとは言い出せず__。

