木曜日の昼前、私は白銀に輝く町の中にいた。
想像していたよりも少ない量とは言え、やはり見たこともない雪深さに圧倒される。


はぁーと吐き出す息が白い。
それが直ぐに凍ってしまうんじゃないのかと思うくらい、辺りの空気も冷たい。


月曜日のお昼に一咲が約束してくれた通り、ドクターの実家の住所は翌日には『調べがついたよ』とラインが入った。


添付されていた写真には、思っていたよりも近場の県名が記されており、ネットで検索してみたところ、片道三時間もあれば着くと載っていた。


ドクターの実家がある場所は、本来降雪量も多くない町のようだったが、今年は異常気象のせいもあってか、例年になく雪が多いと情報が上がっている。



「車では危ないから電車の方がいいよ」


ネットを見ながら一咲もそう言い、私は元から運転免許を持ってないよ…と話した。


「凛ちゃんは自分がずっと都会に住み続けると思ってたんだね」


一咲の言葉に改めてそうだったのかな…と感じた。
意識もしていなかったけれど、そう言われるとそうなのかもしれない。