「そう。良かった…」


肩を落として安心している。
だけど、ちっとも良くない。


「一咲には悪いんだけど、ちっとも良くない状況よ」


午前中に掛かってきた電話のことを話すと、一咲は再び眉を引き上げ__


「ええーっ!休暇!?」


どれだけすれ違い?と言うものだから、本当にね…と答えるしか能がなく。


「私、このまま彼に置いてかれちゃうのかな」


何となくそんな気がして呟いた。
一咲は、何言ってんの!と声を上げ、驚く様な言葉を続けた。


「追い掛けて行きなよ」


センセの居る場所に…と言いだす彼女に、とんでもない!と両手を上げる。


「そんなこと出来ないよ」


「どうして?じゃあ凛ちゃんはこのままセンセと別れても平気なの?」


私ならソッコーで追い掛けて行くと言う一咲に負けないくらいの行動力があればいいのだが。


「でも、私…」


見知らぬ土地に居る彼のことは気になる。
足を痛めた彼の父親のことも心配。
だけど__


「何しに来たって言われたら……」